公開:2026年10月10日 | 著者:檜垣 昌幸(税理士・TOSS合同会社 代表社員)

戦略会議では何をする?17のステップと、最初の2ステップの進め方

複雑な経営課題を整理し、行動への道筋をつくるイラスト

「経営の相談をしたいけれど、会議で何をするのか分からない」「数字を見て終わりではなく、次に何をするかまで決めたい」。TOSSの戦略会議は、会社の現状を整理し、伸ばす方向を選び、計画を行動へつなげるための会議です。

この記事では、戦略会議ワークブックの全17ステップを紹介します。最初のSTEP1・2は、会議で交わす質問や、終わると何が決まるかまで、具体例でご案内します。

この記事の目次
  1. 全体像:現在地から、社員に伝えるところまで
  2. 全17ステップ:やることと、次に進む目安
  3. STEP1:まず、数字と現場の話から現在地を確かめる
  4. STEP2:利益を増やす方向を選ぶ
  5. 初回の会議と、その後の支援

全体像:現在地から、社員に伝えるところまで

戦略会議は、次の5つのまとまりで進めます。

STEP1–2現在地と
伸ばす方向を決める
STEP3–4取り組む
打ち手を選ぶ
STEP5–105年後までの
数字を組み立てる
STEP11–13行動して
振り返る
STEP14–17社長の考えを
社員に伝える

1ステップが1か月とは限りません。すでに整理できているところは確認して進み、判断材料が足りないところは、同じステップをもう一度扱います。毎回、次の30日で行う一歩も決めます。

ワークブックを使う検討時間は1回60〜90分が目安です。会議全体の時間と頻度は、契約したコースに合わせます。17ステップを初回の約90分ですべて終えるわけではありません。

全17ステップ:やることと、次に進む目安

STEP 会議で行うこと 次に進む目安
1 商品・顧客・販売・事業・組織の5つから、会社の現状を診断する 最初に改善したい構造が1つ決まる
2 自社に合う利益の増やし方を検討し、主軸とする方向を選ぶ 社長が主軸を選び、必要なら候補を3つまでに絞る
3 47の打ち手から、自社に関係する10〜15個を選ぶ 改善する構造に合う打ち手が選べる
4 選んだ打ち手のうち、最重要の3つを決める 3つに優先順位をつけ、そのうち1つの次の行動が決まる
5 今期末の着地を見込む 売上・粗利益・経常利益の見込みがそろう
6 5年後の売上を、商品や事業ごとに組み立てる 何で売上をつくるかを説明できる
7 5年後の社員数と平均年収を考える 人員と給与の数字を置ける
8 広告、採用・教育、社長の戦略活動に使う「未来費用」を決める 取り組みに必要な金額を見込める
9 今期・来期・5年後の損益をまとめる 売上、費用、利益のつながりを確認できる
10 Excelで5年分の計画に展開する 年ごとの数字を計算し、目指す水準と比較できる
11 重点テーマを1枚にまとめる 狙う成果から、最初の行動までがつながる
12 次の30日で行うことを具体化する 誰が・何を・いつまでに行うかが決まる
13 30日後に結果を振り返る できたこと、途中のこと、できなかった理由を整理できる
14 社長の経験と価値観から、理念を言葉にする 8つの問いに答え、会社を続ける理由や大切にすることを整理できる
15 社員に伝える材料をそろえる 理想の顧客、商品、数字、人員・給与など、7項目を整理できる
16 事業・組織・社員の未来を伝えるストーリーを作る AIの原案を社長の言葉に直し、顧客の変化も含めて説明できる
17 経営計画発表会を設計する 日程・場所・対象と、伝える内容が決まる

行動と振り返りは一度で終わりません。STEP13で結果を確認したら、重点テーマや次の行動を見直します。計画を作った後も、実際の変化に合わせて続けていきます。

STEP1:まず、数字と現場の話から現在地を確かめる

会議の前に用意するもの

基本となる資料は、直近2期分の決算書、進行期の試算表、会社概要です。会社概要には、事業内容、社員数、主力商品、売上などを分かる範囲で記入します。分からない項目は、担当と一緒に確認します。

初めの対話では、現在の状況、最大の課題、今日整理したいこと、どんな会社にしたいか、すでに取り組んでいることや迷っていることを伺います。すでにお聞きしている情報があれば、変化したところを中心に確かめます。

「忙しい」を、5つの構造に分けてみる

売上や利益だけでは、何が原因かは分かりません。商品、顧客、販売、事業、組織の5つに分け、強みと改善したい点を見ます。

見るところ 会議で確かめることの例
商品 お客様は何に価値を感じているか。価格を自分たちで決められるか
顧客 どんなお客様を増やしたいか。特定の取引先に偏っていないか
販売 問い合わせから受注まで、社長以外でも進められるか
事業 仕事が増えたときに利益が残るか。継続収入や外注の使い方はどうか
組織 誰が何を担当するか。社長が抱えている仕事を任せられるか

ワークブックでは、強み・標準・要対策・即変革の4段階で自己評価します。評価が低い項目に印をつけるだけでなく、「なぜそう感じるのか」「どの仕事で起きているのか」を話していただきます。

会議では、このように掘り下げます

以下は進め方を伝えるための架空の対話例です。実際の相談事例や成果ではありません。

社長:受注は増えていますが、私が全部の見積りを確認するので、次の提案に時間が使えません。

担当:見積りで社長が判断しているのは、価格ですか。作業内容ですか。それとも、お客様によって条件が違うのでしょうか。

社長:追加作業の料金が決まっていないので、毎回私が判断しています。

担当:では、単に人が足りないのか、料金と見積りのルールが足りないのかを分けましょう。よくある追加作業を並べると、標準にできそうなものはありますか。

この例では、採用だけを検討する前に、商品・販売・組織のつながりを見ています。会社にとって改善の必要が大きいところを選び、次の検討へ進みます。

STEP1が終わると、何が残るか

「まず変えたい構造」と「活かしたい強み」が、理由とともに整理されます。例えば、改善するのは見積りの進め方、活かすのは既存顧客からの信頼、という形です。ワークブックでは改善が必要な評価の多い構造を手がかりに、最初に扱う1つを決めます。

STEP2:利益を増やす方向を選ぶ

STEP1で整理した課題と強みから、どの方向へ事業を伸ばすかを検討します。ここでいう「勝ち筋」は、御社の条件で利益や資金を改善するための方向性です。

5つの方向から、自社に合うものを考える

方向 具体的に考えること 確かめたい数字
価格を自社で決められるようにする 選ばれる理由、専門性、提供範囲、価格と顧客のバランス 単価・粗利益率・粗利益額
同じお客様に長く、深く利用してもらう 継続契約、次の商品、再利用しやすい仕組み 継続率・顧客ごとの売上・獲得費用
顧客獲得を仕組みにする 紹介、提携、発信、問い合わせから受注までの流れ 問い合わせ数・成約率・獲得費用
一人当たりの付加価値を高める 作業の標準化、役割分担、外注、集中する仕事 一人当たりの粗利益・対応時間
お金の回りをよくする 請求、入金、在庫、支払い、借入返済の条件 手元資金・回収期間・月々の支出

全部を同時に進めるのではなく、主軸を1つ選びます。必要に応じて候補を3つまで残します。利益率の改善が必要な会社と、利益は出ていても入金が遅い会社では、優先する方向が違います。

AIは候補を出し、社長と担当が確かめる

担当がAIを準備し、決算書・試算表、会社概要、面談の内容などをもとに候補を整理します。AIの案は、そのまま採用しません。数字や現場の条件と合っているか、顧客の反応を見込めるか、社長が取り組めるかを、一緒に確かめます。

例えば、先ほどの会社に「価格を見直す」「紹介を増やす」「見積りを標準化する」という案が出たとします。紹介を増やしても、今の見積りの負担が増すなら、先に標準化を進める方がよいかもしれません。顧客に選ばれる理由が十分あるなら、料金の見直しも合わせて検討できます。

担当:この案では、どの数字が変わる見込みでしょうか。

社長:見積りの確認時間が減れば、既存のお客様への提案に時間を使えそうです。

担当:その時間で何を提案するかも具体化しましょう。価格を変える場合は、お客様に選ばれる理由と、断られた場合の影響も確認します。

社長:まず見積りを標準化し、よく頼まれる追加作業の料金を整理したいです。

この対話も説明用の架空例です。案を選んだだけで改善したことにはなりません。STEP3以降で実施内容を絞り、行動して結果を確かめます。

録音やAIで扱う情報、その利用目的と取扱いは、開始前に確認します。資料にある運用を踏まえ、社長は操作の習得より、案の確認と判断に集中できるよう担当が進行します。

STEP2が終わると、何が残るか

主軸となる方向、その方向を選ぶ理由、改善したい数字、まだ確認が必要な条件を残します。「何となく売上を増やす」から、「この課題を、この強みを使って変える」へ具体化することが、この段階の目的です。

初回の会議と、その後の支援

初回はSTEP1・2を中心に、会社の現状と伸ばす方向を整理します。進み具合は、資料の準備や課題の状況によって変わります。その後、継続支援では打ち手の選定、5年計画、行動と振り返り、社員へ伝える準備を進めます。

基本の支援は、社長の計画づくりと社員に伝える準備までです。社員との会議・発表会への同席は「毎月+社員まで」のコース、または別途合意した範囲で扱います。

TOSSの初回1回、約90分の戦略会議は無料です。現在の顧問税理士を継続したまま利用できます。初回後の継続は自動ではなく、ご希望と支援範囲を確認して決めます。

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参考:THE CXO株式会社「戦略会議ワークブック」および株式会社カタリスタ/THE CXO株式会社「経営計画作成ワークショップ2DAYs」の提供資料。17ステップの継続会議版を軸に、進め方をTOSSの紹介記事として説明しています。対話例は架空です。資料確認日:2026年10月10日。